エピローグ


「早く来いよ」
「急かすなよ。まだ時間はあるぜ?」
「俺、あの時遅刻したからさ。」
「わかったわかった。それに、コスモと話せるしな。」
洸汰はあの事件の後、コスモと話したことは無い。
ネットにも顔出さなくなったのは、記憶を消されたせいだろう。
「まだ未練があるんでしょ?」
「まぁな。」
一哉はキョトンとしてしまう。
「そう素直に言われるとなぁ。」
「…さっさと行くぞ!!」
洸汰は早歩きで先に行く。
「あ、待ってよ!」

『初めまして、私がコスモです。』
「初めまして、か?」
『え?』
「いや、なんでもない」
「やっぱり未練があるんだね。」
「うるせぇ。お前はもういいだろ、先行ってろ。」
「洸汰は?」
「もう少し話す。」
やっぱりとか言いつつ、一哉は待合室に向かった。
『あなたは、私のこと知っているのですか?』
「あたりまえだろ?君は有名人じゃないか。」
『私は人ではありませんよ。』
「どうかな?」
『ふふふ、おかしな人。』
「ひどい言い草だな。ユーモアといえ、ユーモアと。」
『あ、失礼しました。』
擬似感情、とは思えない。
やはり、前のコスモが残っているのかも、と洸汰は思った。
(やめよう…期待してもしょうがないだろ?)
自分に心の中で言った。
「じゃ、またな。」
『あ…』
「ん?どうした?」
『なんでもありません。また会いましょう。』
「じゃあな。」
『さよなら、Koh』
振り返った。
「え?」
『あ…なんでしょうか、今の単語…?バグでしょうか?』
うろたえるコスモに、洸汰は微笑んだ。
「それは、君の中にあるものさ。バグじゃないから。」
『なぜわかるんです?』
「そのうち、わかるさ。」
(お帰り、コスモ)
洸汰は仲間の待つ場所に走っていった。

『Koh…?…なんだろ、この気持ち…』
コスモはつぶやいた。
彼女は思った。
人間の心を知りたい。
そして、人間になりたい…と。

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あとがき
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